MENU

ロードスター マイナーチェンジ 2025の全貌!熟成の走りと変更点

ロードスター マイナーチェンジ
写真はイメージです。

1989年のデビュー以来、35年以上にわたって世界中のドライバーを魅了し続けてきたマツダ ロードスター。

その根底に流れるのは、クルマとドライバーが一体となる「人馬一体」という不変の哲学です。

ライトウェイトスポーツカーの象徴として、常に走る歓びの純粋な形を追求してきたロードスターが、現行のND型において史上最大とも言える大幅な商品改良を受けました。

この記事では、巷で「ロードスター マイナーチェンジ 2025」として注目されている、2023年10月に発表され2024年初頭から発売が開始された最新モデルの全貌を徹底的に解剖します。

読者の中には「2025年モデル」という言葉に少し混乱されている方もいるかもしれません。

厳密には、2024年末に発表された2025年モデルの変更点は、Apple CarPlayのワイヤレス接続対応や一部ボディカラーの整理といった小規模なものでした。

しかし、ユーザーが真に知りたいと検索しているのは、その直前に行われた、走りも装備も劇的に進化した「ビッグマイナーチェンジ」モデルに他なりません。

本稿では、このNDロードスター史上、最も深く、そして最も大きな進化を遂げたモデルに焦点を当てます。

走行性能、内外装のデザイン、そして先進技術に至るまで、あらゆる面で深化を遂げた、まさに「熟成の極み」と呼ぶにふさわしい一台です。

純粋な内燃機関(ICE)を搭載するライトウェイトスポーツカーとして、ひとつの完成形、そして最後の輝きとなるかもしれないこのモデルの魅力を、余すところなくお伝えします。

この記事を読むと以下のポイントについて理解できます。

  • ロードスターの走行性能が劇的に進化した具体的な技術(LSD、パワステ等)の詳細
  • ヘッドライトや内装の質感など、所有満足度を高める内外装の変更点
  • 待望の運転支援機能(MRCC)や最新インフォテインメントシステムの詳細
  • グレード構成と価格、そして今が「買い」である理由と将来の展望
目次

走りが激変したロードスター マイナーチェンジ 2025の進化点

今回の商品改良における最大のハイライトは、エクステリアの変更以上に、一度ステアリングを握れば誰もがその違いに驚くであろう、走行性能の劇的な進化にあります。

マツダは単に最高出力や最高速度といったスペックを追い求めるのではなく、ロードスターの原点であり、開発哲学の中核をなす「人馬一体」の感覚をいかに深化させるかという点に全ての情熱を注ぎ込みました。

その結果、これまでのNDロードスターを熟知したオーナーでさえ「これはもはや別のクルマだ」と感じるほどの、官能的な領域にまで達する変貌を遂げたのです。

ここでは、その走りを根底から変えた核心的な技術、そしてマツダのエンジニアリングが到達したひとつの極致とも言える進化のポイントを、より深く、多角的に見ていきましょう。

写真はイメージです。

新開発LSDで変わる異次元のコーナリング体験

今回の改良で走りの評価を決定づけている最重要デバイスが、新開発の「アシンメトリックLSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル)」です。

これはベースグレードの「S」を除く全MT車に標準装備され、これまでロードスターが培ってきたコーナリング性能を、全く新しい次元へと引き上げました。

「アシンメトリック」、すなわち「非対称」という名の通り、このLSDはアクセルを踏んで駆動力をかける「加速時」と、アクセルを離したりブレーキを踏んだりする「減速時」で、左右のタイヤの回転差を制限する力(差動制限力)を意図的に変化させる画期的な機構を備えています。

従来の一般的なLSDは、主に加速時のトラクション性能を重視し、アクセルオンで強く効くように設計されていました。

しかし、マツダはロードスターが長年抱えていた「高速コーナーでの安定性確保」と、美点である「街中やタイトコーナーでの軽快なひらひら感」という、ともすれば相反する要素を両立させるために、常識を覆す逆転の発想を取り入れたのです。

具体的には、コーナーへの進入でアクセルをオフにする減速フェーズでは、LSDの制限力をあえて「強く」設定。

これにより、リアタイヤの接地性が高まり、荷重が抜けて不安定になりがちだった挙動が見事に抑制されます。

まるで熟練ドライバーが絶妙に荷重をコントロールするかのように、クルマが自ら安定した姿勢を作り出してくれるため、ドライバーは一切の不安なく、自信を持ってコーナーに飛び込んでいけるようになります。

そして、クリッピングポイントを過ぎて立ち上がる加速フェーズでは、逆にLSDの制限力を「弱める」ことで、クルマが曲がろうとする動きを妨げず、スムーズな旋回を促進。

これにより、ロードスター本来の持ち味である、鼻先がスッとインを向くような軽快な身のこなしが一切スポイルされることなく、気持ちよくコーナーを駆け抜けられるのです。

この絶妙な制御は、例えば下りのタイトなワインディングロードでその真価を最大限に発揮します。

従来モデルでは少し慎重にならざるを得なかった場面でも、新型は驚くほど安定してラインをトレースでき、ドライバーとクルマの一体感が格段に増していることを実感できるでしょう。

試乗した多くのジャーナリストが「リアの接地感がまるで違う」「安心してアクセルを踏んでいけるようになった」と絶賛するのも、このLSDがもたらす恩恵に他なりません。

まさに、あらゆるシーンで「人馬一体」の理想をより高いレベルで具現化するための、マツダの執念が生んだ傑作と言えるでしょう。

写真はイメージです。

感動レベルと評判の電動パワステが生む一体感

新開発LSDと並び、走りの質感を劇的に向上させたもう一つの立役者が、電動パワーステアリング(EPS)の感動的な進化です。

ステアリングフィールは、ドライバーがクルマと対話するための最も重要なインターフェースであり、その僅かなフィーリングの違いが運転の楽しさを大きく左右します。

新型ロードスターは、この部分に徹底的にメスを入れることで、ドライバーとの一体感をかつてないレベルにまで高めました。

この改良は、単なるソフトウェアのセッティング変更といったレベルの話ではありません。

ステアリングラックの内部構造を見直し、部品レベルで機械的な摩擦(フリクション)を徹底的に低減。

さらにアシストモーターも刷新し、物理的な応答性を高めました。

そして最も重要なのが、これまでサプライヤーから供給を受けていた制御ロジックを、マツダが自社でゼロから内製化したことです。

実はこの背景には、近年の自動車に必須となったサイバーセキュリティ法規への対応という、避けては通れない開発上の課題がありました。

この法規に適合させるためには、クルマの神経網とも言える電気/電子プラットフォームを刷新する必要に迫られたのです。

マツダは、これを単なる規制対応の義務としてこなすのではなく、「これまでやりたくてもできなかった理想を追求する絶好の機会」とポジティブに捉え、理想のステアリングフィールを徹底的に追求しました。

その結果生まれた新しいEPSは、多くのジャーナリストが表現するように、まさに「雑味がない」という言葉がぴったりです。

これまでのモデルにあった、ごく僅かながら感じられたステアリング操作時の微細な抵抗感や、モーターアシストによる不自然な重さの変化、あるジャーナリストが「一枚薄皮を隔てたようなザラザラ感」と表現した感触が綺麗に消え去りました。

その操作感は、まるで上質な絹の布を滑らせるかのように、どこまでも滑らかでスムーズな「サラサラ」としたものに生まれ変わったのです。

ステアリングを切り始めてから、切り増し、そして戻していく一連の操作の全てにおいて、タイヤが路面を捉える様子がリニアに、そして一切の濁りなくクリアにドライバーの掌に伝わってきます。

ドライバーの「こう動かしたい」という意思が、0.1秒の遅れもなく、1ミリの曖昧さもなく、そのままクルマの動きに変換されるかのようなダイレクトな感覚は、まさに感動レベル。

ロードスターが元来持っていたハンドリングの鋭さ、楽しさが、さらに純度を増して際立っています。

写真はイメージです。

エンジンも強化!馬力とレスポンスの変更点

走りの楽しさを根底から支えるパワートレインも、今回の改良で着実な、しかし意味のある進化を遂げています。

特にソフトトップモデルに搭載される1.5L「SKYACTIV-G」エンジンは、日本のハイオクガソリンのオクタン価に合わせた専用のECUセッティングを施すことで、最高出力が3kW(4馬力)向上しました。

数値の上では「たった4馬力」と感じるかもしれませんが、その変化はスペック以上に体感的な気持ちよさに繋がっています。

最高出力の向上は、高回転域での伸びやかさを生み出し、7500rpmのレッドラインまで、より一層よどみなく、そして官能的なサウンドと共に吹け上がるフィーリングは、間違いなく洗練されています。

重要なのはピークパワーの数値ではなく、回すこと自体が歓びとなるエンジンキャラクターの深化なのです。

さらに、1.5L、2.0Lの全MT車において、スロットル制御のロジックが最新世代のものへとアップデートされました。

これにより、アクセルを踏み込んだ時のエンジンのツキの良さはもちろんのこと、見過ごされがちながらスポーツ走行では極めて重要な、アクセルを緩めた(オフにした)際のレスポンスも大幅に改善されています。

これにより、コーナー進入時のエンジンブレーキのコントロールや、シフトダウン時の回転合わせなどがより意のままになり、ドライバーとクルマとの対話がさらに密接になったことを明確に感じられるはずです。

また、マツダのモータースポーツ活動から生まれた情熱を市販車にフィードバックする存在として、「MAZDA SPIRIT RACING RS」というコンセプトモデルが発表されたことも、ロードスターの未来を占う上で非常に興味深いトピックです。

これは2.0Lエンジンを200馬力以上にまでチューニングし、サーキットで培ったサスペンション技術や空力技術を惜しみなく注ぎ込んだ、いわば「究極のロードスター」。

限定的であれ市販化が予定されており、ロードスターという素材が持つポテンシャルの高さを証明すると同時に、ブランド全体のイメージを牽引する「走る広告塔」としての役割を担っていくことでしょう。

写真はイメージです。

サーキット派注目!新機能「DSC-TRACK」とは?

サーキット走行やジムカーナなど、クローズドコースでのスポーツ走行を本格的に楽しむドライバーにとって、まさに待望と言える機能が追加されました。

それが、横滑り防止装置(DSC)に新たに設けられた、サーキット走行専用モード「DSC-TRACK」です。

これはMT車全車に標準採用されており、その名の通り、サーキットという特殊な環境下でロードスターのポテンシャルを最大限に引き出すために最適化された制御モードです。

通常、標準のDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)は、タイヤが滑り始めたことを検知すると、比較的早期にエンジン出力の抑制やブレーキ制御が介入し、車両の安定を最優先に保ちます。

しかし、スポーツ走行の上級者にとっては、マシンの限界付近で意図的にリアをスライドさせるなど、ある程度の不安定な領域を自らのコントロール下に置くことで、より速く、そしてより楽しく走れる場面があります。

この新しい「DSC-TRACK」モードは、DSCの介入タイミングを意図的に遅らせることで、ドライバーのコントロール領域を最大限に尊重するように設計されています。

これにより、ドライバーは自らのスキルでマシンをねじ伏せ、操る楽しみを存分に味わうことができます。

それでいて、万が一コントロールの限界を超えてスピンなどの危険な挙動に陥った際には、システムが最後のセーフティネットとして介入し、最悪の事態を防いでくれるのです。

これは「DSC完全オフ」とは全く異なる思想であり、安全と楽しさ、そしてスキルの向上までもサポートしてくれる、非常にインテリジェントな機能と言えるでしょう。

センターコンソールに設けられたモード切り替えスイッチには、モータースポーツを象徴するチェッカーフラッグのアイコンが描かれており、マツダの遊び心と走りへの真摯な姿勢が感じられます。

写真はイメージです。

歴代NDロードスターとの違いを徹底比較

2015年にデビューしたND型ロードスターは、これまでにも年次改良を重ねてきましたが、今回の商品改良はそれらとは一線を画す、最も大きく、そして本質的な進化です。

特にその走りの「質」は、これまでのNDロードスターの概念を良い意味で覆すほどのレベルに到達しています。

比較対象として、多くのファンに惜しまれつつ姿を消した伝説的な軽量グレード「990S」の存在は欠かせません。

990kgという驚異的な軽さを武器にしたピュアな走りは、多くのドライバーを魅了しました。

しかしその一方で、軽さゆえの高速走行時の直進安定性や、乗り心地の面では、ごくわずかながら改善の余地も指摘されていました。

今回の新型は、その990Sが目指した「軽さがもたらす楽しさ」という精神性を、より高い次元で、そしてより洗練された形で昇華させたモデルと言えます。

新開発のアシンメトリックLSDと、感動レベルに進化したパワーステアリングは、まさに990Sが抱えていた僅かな課題をピンポイントで解決し、ロードスターの美点である軽快感と、これまで以上の安定感・安心感を完璧に両立させています。

車両重量は僅かに増加しましたが、それを全く感じさせないどころか、むしろクルマ全体のしっかり感、上質感が格段に増しているのです。

長年、初代NA型ロードスターを愛車としてきたベテランジャーナリストが「今回の新型NDは、NA、NB、NC、そしてこれまでのNDを含めた全てのロードスターの中で、初めて本気で欲しいと思った」と語るほど、その完成度は高く、走りの質感はNA型から数えれば3段階はクオリティアップしていると評されています。

これはもはや、消滅した990Sの代替モデルではありません。

その理想を遥かに超えた「正統進化形」なのです。

NA型で「人馬一体」の原点に立ち返り、NB型、NC型と時代に合わせて進化を続けてきたロードスターの長い歴史。

その最新形であるこの大幅改良モデルは、ND型が目指した「ライトウェイトスポーツの本質」を、ついに完成の域にまで高めた金字塔と言っても過言ではないでしょう。

写真はイメージです。

ライバルGR86/BRZとの走りの違いを検証

現代の国産ライトウェイトFRスポーツというカテゴリーにおいて、トヨタGR86とスバルBRZの兄弟車は、ロードスターにとって最も強力なライバルです。

しかし、そのクルマづくりの哲学、そして提供する走りの体験は、ロードスターとは大きく異なります。

一言でその違いを表現するならば、GR86/BRZが2.4Lという大排気量エンジンがもたらす「パワーとタイヤのグリップで豪快に曲がる」クルマであるのに対し、ロードスターはあくまでも1トン前後の「軽さとボディの俊敏性でひらりと舞う」クルマです。

まず、車両重量が決定的に違います。

ロードスターはGR86/BRZよりも200kg以上も軽量であり、この差が街乗りでのちょっとした交差点や、タイトなコーナーが連続する峠道での「ひらり、ひらり」とした身のこなしに直結します。

絶対的なパワーでは劣るものの、ドライバーが意のままに振り回せる感覚は、ロードスターならではの美点です。

エンジンフィールも対照的です。

GR86/BRZが水平対向エンジンならではの低重心と、低回転から湧き上がる力強いトルクを武器にするのに対し、ロードスターの1.5L直列4気筒エンジンは、管楽器のようなサウンドと共に高回転まで回し切ることで、その楽しさが最大限に引き出される設計になっています。

乗り心地の面では、ロードスターの方がサスペンションがしなやかに動き、日常の足としての快適性が高いと言えます。

対するGR86/BRZはより硬派なセッティングで、路面の凹凸をダイレクトに伝える、良くも悪くもスポーツカーらしい乗り味です。

今回の改良でコーナリング時の安定性が劇的に増した新型ロードスターは、ライバルであるBRZが持つと言われる接地感の高さに近づきながらも、その独自の美点である軽快感を全く失っていません。

そして何より、ロードスターにはライバルにはない、絶対的な魅力があります。

それは、スイッチひとつで頭上のルーフを開け放ち、風や光、自然の音を全身で感じながら走ることができる、オープンエアモータリングの解放感です。

これは単なる機能ではなく、クルマのスペックやラップタイムだけでは決して測ることができない、人間の五感に直接訴えかける、最高に贅沢で特別な歓びをもたらしてくれます。

写真はイメージです。

内外装も刷新したロードスター マイナーチェンジ 2025の変更点

今回のマイナーチェンジは、走りの劇的な進化に注目が集まりがちですが、ドライバーが常に触れ、目にする内外装のデザインや機能性も、その「熟成」というテーマに沿って大きくアップデートされています。

所有する歓びと日々の快適性を格段に向上させる、細部にまでこだわった変更点を詳しく見ていきましょう。

写真はイメージです。

新デザインのランプで外装デザインの印象は変わった?

エクステリアにおける最も分かりやすい変更点は、ヘッドライトとリアコンビネーションランプという、クルマの表情を決定づけるランプ類のデザイン刷新です。

これにより、ロードスターの表情はより現代的で精悍なものへと生まれ変わりました。

まずヘッドライトは、従来モデルではフロントバンパーに独立して配置されていたデイタイムランニングランプ(DRL)が、ヘッドライトユニット内部に統合されました。

半円状に光るこのDRLはウインカーとしての機能も兼ね備えており、点灯時には生き物の瞳のような生命感を表現しつつ、全体としてはよりシャープでスポーティな「目元」を演出しています。

リアコンビネーションランプも、歴代モデルが大切に受け継いできた円形のモチーフはそのままに、内部のデザインをより立体的で奥行きのあるものへと変更。

開発陣が「ジェットエンジンのアフターバーナー」から着想を得たという、奥行きを感じさせるデザインは、後続車に力強さと先進性を感じさせます。

また、これまでバンパー下部にあったバックランプがテールランプユニット内に移動したことで、リアビュー全体がよりすっきりと、ワイド感を強調する洗練された印象になりました。

そして、これらヘッドライト、DRL、ウインカー、テールランプ、ストップランプといった全てのランプ類がフルLED化されたことも大きなポイントです。

LEDならではのキレのあるシャープな光は、クルマ全体の質感を高めると同時に、夜間や悪天候時の視認性向上にも貢献しています。

加えて、ホイールデザインも16インチ、17インチ共に、よりスポーティで立体的なデザインに刷新。

さらに、都会的で知的な印象を与える新色「エアログレーメタリック」が追加されたことで、エクステリアの選択肢も一層豊かになりました。

写真はイメージです。

新色と質感向上で魅力が増したインテリアデザイン

ドライバーが最も長く過ごす空間であるインテリアも、今回の改良で大きな進化を遂げました。

日々の運転で満足感をダイレクトに感じられる、きめ細やかな質感向上が随所に図られています。

特に多くのジャーナリストや既存オーナーから評価が高いのが、センターコンソールのサイド部分の素材変更です。

従来はややもすればチープに見えがちだった硬質な樹脂パーツでしたが、上級グレードでは柔らかな触感を持つ合成皮革で覆われました。

ここは運転中に自然と腕や膝が触れる部分だけに、この変更がもたらす触感、質感の向上は絶大で、「今回の改良で最も羨ましいポイント」との声が上がるほどです。

また、ルームミラーがフレームレスデザインになったことも、室内の印象をよりモダンでスマートに見せるのに大きく貢献しています。

物理的な枠がなくなったことで、後方視界の妨げを最小限に抑えると同時に、開放的な雰囲気を作り出しています。

さらに、新たなグレードとして「S Leather Package V Selection」が追加されたことも見逃せません。

これは、初代NA型ロードスターで絶大な人気を誇った伝説のグレード「Vスペシャル」を現代的に再解釈し、ヘリテージを大切にするファンに向けたモデルです。

上質なタンカラーのナッパレザー内装と、クラシカルなベージュのソフトトップの組み合わせは、まさに王道。

ロードスターが持つ35年の歴史と伝統に敬意を表した、時代を超えて愛されるであろう上品な装いは、長く大切に乗り続けたいと思わせる特別な魅力を放っています。

その他にも、「S Special Package」のファブリックシートには、スポーツ走行時にも身体をしっかりホールドしてくれる、滑りにくく質感の高いスエード調の生地「レガーヌ」が採用されるなど、細部にわたる丹念な改良が施されています。

写真はイメージです。

マツダコネクトと安全性能と装備の嬉しい進化

純粋なドライビングプレジャーを追求する一方で、現代のクルマとして不可欠なインフォテインメントと安全性能も、今回の改良で飛躍的な進化を遂げました。

これにより、ロードスターは非日常の楽しさだけでなく、日常の使い勝手や長距離移動の快適性、そして万が一の際の安心感を高いレベルで提供する、より万能なスポーツカーへと生まれ変わりました。

まず、ダッシュボード中央に鎮座するセンターディスプレイは、従来の7インチから大型で高精細な8.8インチへと拡大されました。

ただ大きいだけでなく、フレームレスデザインによって見た目も非常にスタイリッシュになっています。

この新しいディスプレイを核とするインフォテインメントシステム「マツダコネクト」は、システム自体も最新世代のものとなり、処理速度や操作性が向上。

スマートフォンと連携するコネクティッドサービスにも対応し、万が一の事故の際に自動で緊急通報を行うSOSコール機能や、音声でナビやオーディオの様々な操作が可能なAmazon Alexaを標準搭載しています。

さらに、2025年モデルからは全グレードでApple CarPlayが待望のワイヤレス接続に対応し、乗り降りの際のケーブル着脱の手間がなくなり、利便性がさらに向上しました。

そして、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」の進化は、今回の改良における最大のトピックの一つです。

多くのユーザーから長年熱望されていた「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」が、ついに採用されました。

ミリ波レーダーで先行車を検知し、設定した車間距離を保ちながら追従走行するこの機能は、高速道路などでの長距離移動におけるドライバーの疲労を大幅に軽減します。

AT車は停止までサポートする全車速追従機能付きで、渋滞時のストレスも和らげます。

「ピュアスポーツカーに運転支援は不要」という意見も根強くありますが、マツダは、これらの安全装備がもたらす「安心感」と「快適性」が、結果としてロードスターの活躍の場を広げ、オーナーがより遠くへ、より気軽に走り出すきっかけとなり、結果として走る歓びを多くの人に届けることに繋がると考えました。

レーダーセンサーはフロントグリルのエンブレム横に巧みに統合され、デザインへの影響と車両重量の増加も最小限に抑えられています。

ピュアな走りの楽しさを一切犠牲にすることなく、現代的な安全と利便性を見事に両立させた、マツダの巧みなバランス感覚が光る、歓迎すべき進化です。

写真はイメージです。

2025年モデルのグレード構成と気になる価格

今回の商品改良に伴い、グレード構成も整理され、それぞれのキャラクターがより明確になりました。

これまで人気を博してきた「990S」や「BROWN TOP」、「White Selection」といった特別仕様車がカタログから姿を消し、ラインナップがシンプル化されています。

しかしこれは単なる削減ではなく、例えば「990S」で追求された走りの思想は、標準車のLSDやパワステの進化という形で、より高い次元で全てのグレードに反映されたと考えるべきでしょう。

その一方で、前述の通り、クラシカルな魅力を前面に押し出した「S Leather Package V Selection」が新たにカタログモデルとして設定されました。

車両価格は、大幅な性能向上や装備の充実化を反映し、全体的に20万円から30万円ほど引き上げられています。

しかし、その進化の内容を冷静に分析すれば、この価格上昇分を遥かに上回る価値が提供されていることは間違いありません。

例えば、新開発のアシンメトリックLSDや、内製化した制御ロジックを持つパワーステアリング、そしてMRCCといった装備を、もし仮にアフターパーツで同等の性能を実現しようとすれば、この価格差では到底収まらないでしょう。

特に、最もベーシックなグレードである「S」は、新開発のパワーステアリングや最新のマツダコネクトといった主要な進化の恩恵を受けながら、車両本体価格が289万8500円からと、依然としてFRオープンスポーツカーとしては驚異的なコストパフォーマンスを維持しています。

以下に、ソフトトップモデルの主要なグレードと価格をまとめました。

2025年マツダ ロードスター 主要グレード価格表

スクロールできます
グレード (Grade)エンジン (Engine)駆動 (Drive)トランスミッション (Transmission)メーカー希望小売価格 (MSRP incl. tax)
SSKYACTIV-G 1.5FR6MT\2,898,500
S Special PackageSKYACTIV-G 1.5FR6MT\3,087,700
S Special PackageSKYACTIV-G 1.5FR6EC-AT\3,203,200
S Leather Package V SelectionSKYACTIV-G 1.5FR6MT\3,553,000
S Leather Package V SelectionSKYACTIV-G 1.5FR6EC-AT\3,668,500
RSSKYACTIV-G 1.5FR6MT\3,679,500
NR-ASKYACTIV-G 1.5FR6MT\3,064,600

データは2023年10月発表時点のものです。

写真はイメージです。

マイナーチェンジ後の中古車価格はどうなる?

ロードスターは、どの世代においても非常に高いリセールバリュー(資産価値)を誇るクルマとして知られています。

そのため、今回の大きなマイナーチェンジが中古車市場にどのような影響を与えるのかも、購入を検討する上での大きな関心事です。

大幅改良モデルの登場直後、中古車全体の平均価格はわずかに上昇する傾向が見られました。

これは、価格帯の高い新型モデルが中古車市場に流入し始めたことが一因と考えられますが、全体としては暴落することなく、非常に安定した相場を維持しています。

現行ND型の中古車は、年式やグレード、走行距離にもよりますが、100万円台半ばから探すことが可能で、特に流通台数が多く装備も充実している「S Special Package」は、コストパフォーマンスが高く狙い目のグレードと言えるでしょう。

購入を検討する上では、改良前と改良後のどちらを選ぶか、非常に悩ましい選択となるでしょう。

改良前のモデルは、価格的な魅力が増しており、絶対的なお買い得感があります。

主に街乗りが中心で、とにかく気軽にオープンエアドライブを楽しみたいという方にとっては、非常に賢い選択です。

しかし、今回の改良で得られた走行性能や先進安全装備の進化は、単なる快適装備の追加とは訳が違う、クルマの根幹に関わる大きなものです。

その差額を支払う価値は十分にあると断言できます。

特に、ワインディングやサーキットでの走りの質感を重視する方や、MRCCを活用して長距離ツーリングを快適に楽しみたいと考える方にとっては、改良後のモデルがもたらす満足感は、価格差を補って余りある、計り知れないものがあるはずです。

また、長期的な視点で見れば、この「ビッグマイナーチェンジ」モデルは、ND型ロードスターの歴史の中でも特別な存在として、将来的に中古車市場で高く評価される可能性も秘めています。

写真はイメージです。

まとめ:ロードスター マイナーチェンジ 2025

最後に、ロードスターの未来について触れておきましょう。

次期モデル、通称「NE型」の開発に関する様々な憶測が飛び交っていますが、確実視されているのは、何らかの形で「電動化」されるということです。

世界的な環境規制の強化を考えれば、これは避けられない流れです。

しかし、マツダの開発者は「ND型を2030年頃まで継続させたい」とも発言しており、次期NE型の登場はまだ少し先になる可能性が高いと見られています。

この状況は、何を意味するのでしょうか?

それは、今回の大幅改良を受けた現行モデルが、「純粋な内燃機関を搭載した、史上最も完成度の高いロードスター」であり、そして「おそらく最後のモデル」になる可能性が極めて高いということです。

新開発のLSDとパワーステアリングによって研ぎ澄まされたアナログな運転の楽しさ。

そして、MRCCや最新のマツダコネクトといった現代的な快適・安全装備。

このモデルは、ライトウェイトスポーツカーが持つべき普遍的な魅力と、現代のクルマに求められる利便性を見事に融合させた、「良いとこ取り」の一台なのです。

まさに、内燃機関スポーツカーの歴史における一つの到達点、「ピークICE」と言える存在です。

未来の電動ロードスターがどのような素晴らしい走りを提供してくれるのかは楽しみですが、ガソリンエンジンの鼓動とフィールを愛する者にとって、これ以上ないほど魅力的な選択肢が、今ここにあるのです。

これは、単なる移動手段ではなく、未来のクラシックカーとなりうる「走る歓びへの投資」と言えるかもしれません。

写真はイメージです。
  • NDロードスター史上、最大規模の商品改良である
  • 走りの核は新開発「アシンメトリックLSD」の採用だ
  • LSDは減速時の安定性と加速時の軽快さを両立する
  • 電動パワステの制御を内製化し、フィールが劇的に向上した
  • ステアリングは雑味が消え、リニアで上質な操作感を実現した
  • 1.5Lエンジンは4馬力アップし、より気持ちよく吹け上がる
  • サーキット走行向けの「DSC-TRACK」モードが新設された
  • ランプ類はフルLED化され、デザインも現代的に刷新された
  • ヘッドライトはDRL内蔵型となり、より精悍な顔つきになった
  • 内装はセンターコンソールの質感などが向上した
  • ディスプレイは8.8インチに大型化し、マツダコネクトも進化した
  • 待望のレーダークルーズコントロール(MRCC)が採用された
  • 価格は上昇したが、進化の内容を考えれば価値は高い
  • 純粋な内燃機関を搭載する最後のロードスターになる可能性がある
  • アナログな楽しさと現代の快適性を両立した「熟成の極み」である
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次